太陽の動きの秘密に迫る!観察実験で学ぶ太陽の動き(太陽とかげ:第3時)

キーワード: 太陽の動き 日光 かげの向き
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目次

(一言で)授業の目標

太陽が動くか確かめる方法を考えよう。

授業の目標(詳細)

本単元では、日なたと日陰の様子に着目して、継続的に観察し、それらを比較しながら、日陰の位置と太陽の位置の変化や地面のあたたかさ、湿り気の違いを調べる問題解決活動に取り組む。それらの活動を通してそれらについての理解を図り、観察などに関する技能を身につけることができるようにしていく。主に差異点や共通点を基に、問題を見いだす力や主体的に問題解決しようとする態度を育成する。

太陽やその光である日光は、理科で学習していくあらゆる自然現象にかかわるエネルギーである。小学校3年生らしく遊びを交え、太陽について学習していく中で、説明を聞くだけでは得られない生きた知識を体得できるようにしたい。

【単元の目標】
日なたと日陰の様子に着目して、継続的に観察し、それらを比較しながら、日陰の位置と太陽の位置の変化、地面のあたたかさ、湿り気の違いを調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察などに関する技能を身に付けるとともに、主に差異点や共通点を基に、問題を見いだす力や主体的に問題解決しようとする態度を育成する。

【単元の指導計画】添付ファイル参照

本教材のポイント

本時は、かげが太陽の反対側にできることを学んだ児童たちが、かげの向きが変わる時間帯があることに疑問をもち、それを解決する方法を考える授業である。

午前中にかげふみをしたときと、下校のときのかげの様子が違うことから、太陽の位置が変わっているのではないかという予想は児童からすぐに出てくる。日の出や日の入りを見たという児童も、太陽は動いていると証言する。しかし、テレビや親から「太陽は動いていない。地球が回っている。」と教わっている子は、「太陽は動いていない」と主張する。太陽の位置が変わることを地球の自転と関連させて説明することも、それを証明することも、この段階では難しい。「地球にいる私たちから見ると、太陽は動いて見えると思うか」と助言するとよい。(厳密に言えば、地球の自分に対して太陽は相対的に動いているといえるし、太陽系自体も銀河系や宇宙の中で他の天体と位置関係が変わっているので、「太陽は動いていない」という知識も正しいとはいえない。)

本時は、かげの動きを調べる方法や方位磁針の使い方など、確認することがたくさんある。大切なことをしっかり押さえて、快晴の日を待ちたい。

授業デザイン

・前時に太陽を観察した時間帯と、下校の時間帯の運動場の写真を見比べ、かげの向きが変わる理由について考える。

T:「太陽を観察したときと下校のときでは、かげがの様子は同じですか。違うなら、かげの何が変わっていますか。」
C:「かげの向きがちがう」
C:「長さが変わっている。下校しているときのかげは、長くなっている」
T:「かげの向きがちがうのはなぜでしょう」
C:(画像を指しながら)「かげは太陽の反対にできるから、観察したときには太陽がこっちにあって、下校のときには太陽がこっちにある」
C:「太陽が動いた」「太陽は西にしずむ」「太陽は動くのではなく地球が動く」

【めあて】
太陽が動くか確かめる方法を考えよう。

・かげふみをしたときの運動場の写真と、下校時の運動場を撮影した写真を比べることで、かげの長さや向きが変わっていることに気付かせる。

*かげの向きがかわるため、太陽の位置が変わっていると考えるのが、学習の流れとしても自然である。素朴に学習している児童は納得するが、地球の動きについて知っている児童は納得しない。自分の知識で他の児童を説得しようと発言し始めるが、みんなが納得できる説明はできない。議論は終わらないので、教師から「よくわからないから、観察して確かめてみよう」と投げかけ、授業のめあてを設定する。

・太陽の動きを確かめるための方法を考える。

T:(懐中電灯でストローのかげを動かしながら)「太陽が動くなら、かげがこのように動くはずですね。ストローのかげをペンでなぞっておけば、かげがずれたら太陽が動いたということが分かります。」
C:「少しずつ動いていると思うから、休み時間ごとに記録したい」

・方眼紙にストローを立てたものを見せて、太陽が動くのであればストローのかげがどのように変化するか考えさせる。それを通して、観察方法を具体化していく。

・教室を薄暗くして懐中電灯で方眼紙を照らすと、ストローのかげができる。懐中電灯を太陽のかわりとして動かしながら、かげを記録することで太陽の動きを調べることができることを確認する。

・グループごとに太陽の動きを観察する道具を制作する。

T:「かげを正しく記録するための方法を説明します。説明を聞いて観察する道具を作り、使い方を確認しましょう。」
【観察する道具の作り方】
①    方眼紙の中心にストローを垂直に立てて、セロテープで固定する。
②    方眼紙に方位を書き込む。
【観察当日の準備の仕方】
①    方位磁針の文字盤の北と、方眼紙の北を揃えて貼る。
②    方位をそろえて方眼紙を置き、養生テープで固定する。(運動場などで行う場合は重しとなる石などを置く)
【観察方法】
①    朝、方眼紙を方位に揃えて固定し、かげをなぞって時間を記録する。
②    1時間ごとにかげをなぞり、時間を記録する。

・方眼紙にストローを立てて、方位を記入したものを作っておき、観察当日の朝からすぐに記録ができるようにしておく。

*観察セットの準備や記録の仕方を児童が全て考えるのは難しいので、かげを記録することで太陽の動きを調べられることを確認したあとは、教師が観察方法を説明する。

*教科書(東京書籍の場合)には午前・昼・午後の3回観察すると記載されているが、できれば1時間後と(9時、10時、11時、12時、13時、14時、15時)に観察できるとよい。あとでそれが日時計になっていることが分かるからである。また、正確に観察すると9時と10時、10時と14時、11時と13時のかげの長さがだいたい同じになっている。

*12時に太陽が真南にくるとは限らない。また、班や記録する人によって誤差がどうしても出てくる。丁寧に観察する児童ほど誤差にこだわってくるので、観察時に助言する。

・方位磁針の使い方を練習する。

T:「観察の準備ができましたね。しかし、太陽がどのように動いたか確かめるためには、方位が分からないといけません。方位を調べるための『方位磁針』の使い方を練習しましょう。」
T:「席が右側の人は、方位磁針を取りに来てください。席に戻ったら、左側の人と観察しましょう。」
「方位磁針には、自由に動く針があって、片方に色がついていますね。色がついている針は、いつでも北を指します。針の下には、針の絵と方位が書いてありますね。」
「席が右側の人、立って手のひらに方位磁針を水平に置きましょう。隣の人は、水平にもてているか、見てあげましょう。」
「右側の人は、方位磁針を持ったまま、色がついた針が指す方角を向きましょう。そっちが北です。」
「北を向いたら、方位磁針を回して、北の文字と色のついた針を合わせましょう」
「体は北に向けたまま、今から先生が言う方位を指さしてください。いきますよ。南!そうです。後ろ側が南ですね。次は、東!・・・」
「隣の人と交代をしましょう。席が左側の人、方位磁針をもって、北をむいてください」

・かげの方位を正しく記録する必要があることから、方位磁針の使い方を覚える必要性があることに気付かせる。

・方位磁針をペア(隣の席)で1つずつ用意して、説明しながら一人ずつ使わせることで、方位磁針の使い方が覚えられるようにする。

*実際に方位磁針を使わせながら、方位磁針の扱い方や方位の調べ方を教えていく。ペアで行うことで、教師の指示が分からなくなってしまったときにペアに教えてもらうことができる。ペアの見ている児童も、見ながら使い方を覚えることができる。

*体を北向きにして文字盤を合わせたら、体の向きはそのままにしていろいろな方位を指す練習をする。

*全員北向きになって方位を指せるようになったら、次は教室から遠くに見える物の方位を調べさせてもよい。(「○○山の方位を調べよう」「海はどちらの方位か調べよう」など)

・ノートに太陽の動きを予想し、それが正しければかげがどのように動くはずか考える。

T:「太陽が動くと考えている人は、どの方位から出てきて、どのように動くと思いますか。」
C:「太陽は東から上って、真上を通り、西に沈むと思う。だからかげは、西から東に動くと思う。」
T:「太陽が真上を通るなら、そのときのかげはどのようになっているはずですか」
C:「太陽が真上にあるときには、かげはなくなるはず」「太陽は真上からずれたところを通ると思う」

T:「動き方はどのようになると思いますか」
C:「時間ごとに、太陽がぱっと位置を変えていると思う」「太陽はずっとゆっくり動いていると思う」
T:「自分の予想だと、かげがどのようになるか、もう一度たしかめておきましょう。天気がよい日に観察をします。」

・方位を確かめた上で太陽とかげの動きを予想させることで、より具体的に予想を立てる。

・児童の予想を分類し、予想ごとにかげがどのように動くはずか、懐中電灯を動かしながら考える。

*予想と結果をつなげて考えることで、観察の目的をしっかりもたせる。

*太陽の動く向きと動き方を分けて予想する。

*「太陽は東から上って西へ動く」と予想する子でも、太陽が真上を通るかどうかで意見が分かれる。真上からストローを照らすとかげがなくなるところを示し、太陽が真上をとおるのであればかげがなくなる時間帯があることをはっきりさせておく。

・本時の学習を振り返り、観察の見通しをもつ。

T:「先生が天気予報を見て、一日中晴れそうな日の朝に連絡をします。そのときには学校に来てから朝のしたくをすばやく済ませて、観察の準備にとりかかってください。」
T:「振り返りを書きましょう。」
C:「早く太陽の動きを確かめたい」「方位や記録の仕方を間違えないように正しく観察したい」「友だちの予想を聞いて、自分の考えが変わった」

・観察当日の動きを確認し、当日スムーズに活動が始められるようにしておく。

*班ごとに早く来た児童が先に準備に取りかかるよう伝えておく。

*観察当日は早い児童の登校に合わせて教師も教室で待機しておき、指示を出せるようにしておく。(他の教科の学習になるべく影響が出ないように配慮する)

作成者からの一言

方位磁針の使い方、かげを調べることで間接的に太陽の動きを調べることなど、3年生にとって難しいことの多い観察である。かげと時間を記録すること自体は時間をとらないが、1時間ごとに観察するとなると大変なので、専科であれば担任にあらかじめ協力をお願いしておく。正確な記録を確実にとれば、あとの考察がとてもスムーズだし、達成感が大きい。

【板書計画】

参考文献

東京書籍, 新編新しい理科3, 2024.

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