
(一言で)授業の目標
授業の目標(詳細)
児童は前時に、実験を通して光の直進性について理解している。前単元から太陽や日光について連続して学習しているが、このあたりはエネルギー概念の基礎となるような学習内容となっている。
太陽光は身の回りでたくさん活用されており、現在活用されている再生可能エネルギーの代表ともいえる。太陽光の性質で一番身近な「明るさ」「温かさ」を、集光するとどうなるか調べる実験を通して、生活に役立てようとする態度も育てていきたい。
本教材のポイント
時は鏡で反射させた日光を重ねることにより、明るさの変化や物の温度の上がり方を調べる実験を行う。授業の準備や実践のポイントは以下のとおりである。
・天気予報では晴れでも、薄い雲が空にかかることがある。雲量予報をチェックして、雲のない日や時間帯を選んで実験を行う。
・実験をする場所や器具、方法を事前に検討することにより、児童に分かりやすい結果が得られるようにする。
・役割分担や実験の手順を明確にして、クラス全体で一つの問題を解決し、科学的な態度を育てるとともに達成感を感じられるようにする。
・明るさの変化を照度計で測定することにより、明るさも数値で表すことができることを知る。(教育課程外)
授業デザイン
・教師が反射させた日光によって教室の壁が温められているかどうか考え、問題を設定する。
7T:「日光は地面などを温めていましたね。(鏡で反射させた日光を温度計を差した的に当てて)このようにすると温められるのでしょうか。今、温度計は21℃です。」
C:「日光をはね返しているから上がると思う。」
C:「鏡ではね返した光は日光とちがうから、上がらないと思う。」
T:「1分たちました。○○さん、目盛りをよんでください。」
C:「22℃になっています。温度が上がりました。」
・はね返した日光を重ねた場合の予想をする。
T:「鏡を増やして光を重ねたら、明るさや温まり方は変わるのでしょうか。」
【問題】
かがみではね返した日光を増やすと、明るさや温まり方はどうなるのだろうか。
・日光によって地面が温められた実験結果を想起させ、はね返した日光でも同じ事がおこるか問う。
*はね返した日光でも、物を温めることができると思うか挙手をして予想させ、考えをもって演示実験を見ることができるようにする。
*温度計を差した的を立てかけ、窓際から日光を反射させて当てる。目盛りを児童に読ませ、わずかに温度が上がっているという結果を共有する。
・鏡ではね返した日光で物の温度を上げることができる様子を観察させてから日光を増やした場合を予想させることで、問題を焦点化して設定する。
(1)鏡ではね返した日光をまた光を重ねると温度の変わり方はどうなるか予想をする。
T:「鏡を増やして光を重ねたら、明るさや温まり方はどのようになるでしょうか。予想をしましょう。」
【児童の予想の例】
ア:温度も明るさも1枚のときと変わらない。
イ:温度はどんどん上昇するが、明るさは変わらない。
ウ:温度は変わらないが、明るさはどんどん明るくなる。
エ:温度も明るさもどんどん明るくなる。
※生徒が感じる明るさの増え方と違うのは、人間の明るさの感じ方は対数に比例する(ウェーバー・フェヒナーの法則)ため。
答え:実験して検証(正解はエ)
・第1時で日光を反射させて遊んだときのことを思い出させ、温かさや明るさについて気付いたことをもとに予想ができるようにする。
(2)実験方法を説明し、役割分担をする。
【役割分担】(30人を出席番号で役割分担)
・反射した日光を当てて温度の変化を調べる係
0枚(日光を当てない)…1番
1枚…2・3番 2枚…4~6番
3枚…7~10番 4枚…11~15番
5枚…16~21番 5枚…22~27番
※鏡の枚数よりも一人多いグループをつくり、一人はそこの記録係とする。
・明るさ測定担当…28・29番
・タイムキーパー…30番(1分経過するごとに「○分経過!」とみんなに知らせる)
【実験方法】
・棒温度計をさした段ボールの的に、鏡ではね返した日光を当てて、温度の変わり方を調べる。
・はね返した日光を重ねると温度の変わり方に違いがあるか調べる。
・役割分担をしながら実験方法を説明し、それぞれがやることを明確に指示することで、全員が責任をもって実験を行うことができるようにする。
*教師があらかじめ役割分担を決めておき、段取りよく指示できるようにしておく。
*段ボールの断面の穴を鉛筆などで広げ、温度計を右図のように差し込む。児童に作らせることにより、取り扱いに気をつけようという気持ちをもたせる。
*「明るさ測定担当」として各班の的が受けている光の照度を測定したり、明るさをタブレット端末で撮影したりする係をつくる。液だめがかげにならないよう気をつけながら測定させる。
【照度計について】
・教育課程外であるが、光の強さを数値化することができるため測定する活動を入れるとよい。
・家庭科の採光の学習用に備品として購入してあるものを利用する。
・単位はルクス(Luxまたはlx)である。直射日光はキロルクス(Klux, klx)で表されることが多いので、児童に分かるように換算して読んでやる。
・教室で測定してみせると、窓から離れるほど照度の値は小さくなる。電気と比べても、日光の照度が圧倒的に大きいことで、直射日光のエネルギーの強さを感じることができる。
(3)グループごとに実験を行う。
T:(実験場所に移動して)
「まだ的を置かないでください。壁から1mくらいのところに鏡を置いて、的を置く場所にはね返した日光を集めましょう。タイムキーパーの○○さんの合図で、的を光が集まったところに置きましょう。」
T:「みなさん準備はいいですか。今から、10分間光を当て続けて温度がどのように変わるか調べます。的をおいて、スタート!今の温度を0分のところに記録してください。」
(タイムキーパーの合図ごとに、記録用紙に調べた温度を記録していく)
T:「太陽が動いて、光が的からずれてきましたね。調整しましょう」
T:「10分経ちました。実験の道具を片付けましょう。教室に入って、結果をまとめます。教室に戻ったら休憩をとりましょう。」
・鏡を置く場所、実験の手順などを最終確認して、合図とともに実験をスタートさせることにより、正確な結果が得られるようにする。
*反射した日光は、的からの距離が離れると温める働きが弱くなる。的と鏡の距離がどの班も一定になるように鏡の位置を決めておく。
*児童が鏡を手にもって的に光を当て続けるのは難しい。鏡を置いて実験ができるよう、ちょうどよい場所と時間を選んでおく。(南側に背の低い花壇のかげなどがあると一番やりやすい)
*実験後には水分補給やトイレの休憩をとり、体調を確認する。
(4)結果をクラスで共有し、分かったことをまとめる。
T:「記録係の人は、黒板に結果を書いてください。ほかの人は、結果で気付いたことを考えながら待ちましょう。明るさを撮影する係の人は、テレビに映しますので画像を先生に送ってください。」
(全ての班の結果が書かれたら)
T:「結果から気付いたことはありますか。」
【温度の上がり方について】
C:「10分の間に温度が上がっている」
C:「鏡の枚数が多いほど温度の上がり方が大きい。」
C:「鏡5枚分の日光を当てたら、70℃まで温度が上がる。日光が地面を温めていることを調べたときよりも熱くなった。」
【数値の誤差について】
C:「鏡5枚の班はふたつあるけど、結果が少し違う。これは誤差だ。」
【明るさについて】
C:「日光を重ねるほど照度計の数値が大きくなっている。」
T:「水は100℃で沸騰します。日光を使ってどんなことができそうですか。」
C:「物を温めたり、料理したりできそう。」
C:「日陰に日光を集めて照明の代わりにできそう」
・記録係に結果をかかせていくことで、見ている児童が考えながら待てるようにする。
*実験がうまくいけば、鏡をふやすほど、時間がたつほど的の温度は高くなる。
*ソーラークッカーを紹介し、学んだことがキャンプや災害時に役立つことに気付かせる。
・本時の学習を振り返る。
T:「振り返りを書きましょう。今日知ったことをどのように役立てられそうですか。」
・分かったことをどのように生かせそうかという視点から振り返りをかかせることにより、理科を生活に生かそうとする態度を育てる。
作成者からの一言
鏡を地面におく、鏡と的の距離を一定にするなどのポイントをおさえれば、この実験はかなり精度のよいデータがとれる。鏡が多いとどんどん温度があがるため、児童の驚きも大きい。雲がない時間帯を選んで実験を行い、太陽エネルギーの大きさを体感したい。
参考文献
・東京書籍, 新編新しい理科3, 2024
・https://www.kairyudo.co.jp/contents/01_sho/2024/katei/qr/r6sk70_73/r6sk71/r6sk_P70_71_MOV1/
(開隆堂HP 照度計の使い方)
・https://www.case-buy-case.com/SHOP/1140410/845138/list.html(ソーラークッカー)
・https://weathernews.jp/mountain/cloud/(ウェザーニュースによる雲量予報)
コメントはまだありません