太陽の位置と影の変化を捉える!観察力を引き出す授業の工夫」(太陽とかげ:第2校時)
(一言で)授業の目標
授業の目標(詳細)
本単元では、日なたと日陰の特徴に注目し、継続的な観察と比較を通じて、日陰の位置と太陽の動き、地面の温かさや湿り気の違いを調べる問題解決活動に取り組みます。これらの活動を通じて、自然現象に対する理解を深め、観察に関する技能を養います。また、差異や共通点に基づいて問題を発見する力や、自分で解決しようとする主体的な姿勢を育成します。
太陽やその光である日光は、理科で学ぶさまざまな自然現象に関わる重要なエネルギーです。小学校3年生らしく遊びを交えながら太陽について学び、説明を聞くだけでは得られない生きた知識を身につけられるようにしていきたいと考えています。
本教材のポイント
前時にかげで遊ぶことや、かげのでき方に興味をもたせ、そこでの活動を踏まえて、かげのできる向きについて追究する授業です。
授業デザイン
・かげふみをしたときの動画を視聴し、かげの様子について話し合う。
T:「かげふみをしたときに、かげの向きについて話題になりましたね。どうしてかげの向きは全て同じになっているのでしょうか。」
C:「太陽が関係している」
T;「太陽がかげの向きとどのように関係していると思いますか。」
C:(動画を指さして)「かげがこっちにあるから、太陽がこっちにあると思う」
T:「かげの反対側に太陽があるか、調べてみましょう」
【めあて】
かげはどこにできるのだろうか。
・かげふみをした動画を視聴させることで、クラスのみんなのかげが同じ向きにできていることを再確認し、問題を設定する。
・かげの反対に太陽があることを調べる方法を考える。
T:「かげの反対に太陽があるところを、自分でたしかめるにはどうしたらいいですか」
C:「かげを見つけて、反対側を見たら太陽があるはず」
T:「太陽を直接見たら目を痛めるので、太陽を観察するための道具を持ってきました。これで太陽を見つけて、自分の反対側にかげができているか確かめましょう。」
・児童の予想を確かめる方法を全体で考えることで、調べる方法を全員が理解できるようにする。
*太陽を直接目でみてはいけないことを伝えるとともに遮光プレートの役割と使い方を説明し、安全指導を行う。
*遮光プレートで太陽を見ながら自分の背後にできているかげを見ることはできない。ペアで1つずつ遮光プレートを渡し、太陽を観察する児童とその児童を観察する児童がいるようにすると太陽の反対側にかげができていることがよく理解できる。
・運動場へ出て、太陽とかげの位置関係を観察する。
T:「太陽を見つけたら指さして、ペアの友だちに自分のかげがどこにできているか教えてもらいましょう。」
C1:「あっちに太陽が見えるよ」
C2:「ここ(うしろ)にかげができているよ」
C:「雲が太陽をかくして、太陽が見えなくなった」
T:「かげもなくなってしまったね。どうしてかげがなくなったのかな。」
C:「雲が日光をさえぎったから」
C:「わたしたちは雲のかげにいるんだね」
・遮光プレートで太陽の位置とかげの向きを実際に確認することで、必ず太陽の反対側にかげができていることを確かめさせる。
*教科書では自分のかげと太陽の位置を確認する方法が記載されている。自分だけで確認するのではなく、ペアの児童に観察させるのが効果的である。ペアに背後から声をかけてもらい、かげの位置を教えてもらうことにより、反対側を体感的に理解できるからである。また、太陽を見ている児童を観察する児童も、友だちが見ている反対側にかげがあるところを観察することができるので、まとめの際に図に表しやすくなる。
*観察の際に、カラーコーンや校庭の木のかげ、校旗のかげを観察すると理解が深まる。また、雲が太陽を隠す瞬間があれば、なぜ自分のかげがなくなるかを考えさせたい。雲が日光をさえぎっており、自分たちは雲のかげの中にいることにも気付かせることができる。
・教室に戻り観察で分かったことをまとめる。
T:「ここに太陽があるとすると、かげはどこにできていましたか」
C:「太陽の反対側の地面にできた」「体が日光のじゃまをして、かげを作っている」
T:「体が日光が進むのをじゃましてかげができているのですね。日光をさえぎる、という言葉を使うといいですよ。」
・黒板に図をかきながら、物が日光をさえぎった結果、太陽と反対側にかげができているという仕組みをまとめる。
*太陽を観察している児童とそのかげを黒板にかく。運動場で太陽を見ていた友だちの様子をそのまま図にすることにより、かげができる仕組みを理解しやすくする。
・本時の学習を振り返り、次時の問題をつくる。
T:「振り返りを書きましょう。」
C:「どうやっても太陽の反対側にかげができた」「遮光プレートで見た太陽がきれいだった」「夕方のかげは向きが違うけど、それは太陽が動くからなのだろうか」
T:「今日観察したかげと、夕方のかげは向きが違うという人がいますね。かげが太陽の反対にあるということは、太陽が動いたのでしょうか。次の授業で考えてみましょう。」
・かげは必ず太陽の反対側にできるという知識は、次時以降の学習の土台となる。児童の印象に残るように印象づけておきたい。
・通学中のかげは、観察したものと向きや長さが違うことに気付かせ、次時の問題をつくる。
*登下校中、暑い日にはなるべく日かげを歩くようにしているという児童がいる。登校中と下校中では同じところにかげができているか問うことで、影の向きが変わっているという気付きを児童から出せるようにしたい。
ノートの例
作成者からの一言
かげがどうしても太陽の反対にできることや、遮光プレートを通して見た太陽の姿は、驚きの感情とともに児童の印象に残ります。太陽を見上げ続けて首が痛くなったことは太陽の高度が高かったことを示しますし、顔が暑かったことは日光のエネルギーを感じたことを示します。全員に必ず体験させてあげたい活動です。
参考文献
東京書籍, 新編新しい理科3, 2024.
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