予想を検証!実験結果を棒グラフで整理し、日なたと日かげの温度差を確認しよう(太陽とかげ:第6時)
(一言で)授業の目標
授業の目標(詳細)
本単元の第2次では、日なたと日かげの地面を調べることを通して日光が地面の温度に影響を与えていることを学ぶ。
本時は、日光は地面をあたためているのではないかという疑問を解決するために、日なたと日かげの地面の温度を測定した結果をまとめることが目的である。3年生では、日なたの地面の方が温度が高く、温度の上がり方の変化が大きいことを理解できればよい。しかしせっかく温度を測定したのであれば、班ごとの記録を共有してデータを考察し、科学的な態度を伸ばしていきたい。
【単元の目標】
日なたと日陰の様子に着目して、継続的に観察し、それらを比較しながら、日陰の位置と太陽の位置の変化、地面のあたたかさ、湿り気の違いを調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察などに関する技能を身に付けるとともに、主に差異点や共通点を基に、問題を見いだす力や主体的に問題解決しようとする態度を育成する。
【単元目標を達成するための手立て・工夫】
・太陽とかげの位置関係を調べる
・太陽の位置の変化を調べる
・太陽の光が当たっている地面と当たっていない地面を比較して調べる
【単元の指導計画】添付ファイル参照
本教材のポイント
本時では測定した地面の温度をもとに、日光が地面の温度に影響を与えているか考察する。そのために、以下のことを考慮に入れておきたい。
・班ごとに測定した地面の結果を全体で共有し、条件による違いと誤差を区別しながら考察する。クラス全体の結果としてどのようなことが言えるか考えるとともに、たくさんのデータがあると実験の信頼性が増すことを感じられるようにする。
・温度を棒グラフで表し、実験結果をグラフに処理する経験をする。グラフ化するとどのようなメリットがあるのか考える時間をとる。
授業デザイン
・前時の実験を思い出させ、本時のめあってを設定する。
【めあて】
日なたと日かげの地面の温度のちがいをまとめよう。
T:「この前天気がよい日に、日なたと日かげの地面の温度のちがいをはかりましたね。どのようなことが分かりましたか」
C:「私たちは日なた担当だったけど、温度がすごく上がった」
C:「日かげ担当だったけど、温度が少し上がったから予想がはずれたのかな。よく分からない。」
T:「何を調べるための実験でしたか。前のノートのページを見てみましょう。」
C:「日光が地面を温めているか調べる実験でした」
T:「実験の結果からどのようなことがいえるのか、まとめていきましょう。」
・実験の様子を思い出させ、授業の見通しをもたせる。
*おおまかな実験結果を共有しながらも、みんなでデータをまとめる必要性を感じられるようにする。
※ここでは1~4班が日なたの地面の温度、5~8班が日かげの地面の温度を測っていたことにする。
※実験の様子(日なたと日かげにセットし、朝と昼の2回以上温度を測定する)
・班ごとに実験結果を発表し、班ごとの結果を見比べる。
T:「班ごとに結果を発表しましょう。まずは日なたの地面は8時に何度だったか教えてください。1班どうぞ。」(各班8時の地面の温度を発表する)
(略)
C:「1班です。10時の日なたは、31℃でした」
C:「えー!」
T:「何に驚いたの?」
C:「8時から10度近く上がっている!」
C:「2班です。12時の日なたは、31℃でした」
C:「すごい!1班だけじゃないんだね。30℃超えるって夏みたいだよ」
(略)
C:「5班です。10時に日かげは、19℃でした」
C:「えっ。」
T:「どうしたの?」
C:「8時から変わっていない」
C:「日なたと全然ちがう」
・黒板の表に各班の結果を書き込みながら、全体的な傾向をつかむ。
*日なたの地面は温度の上昇が大きく、日かげは小さい。結果を発表させながら全体がリアクションをしていくと、気付かせたいポイントに気付くことができる。教師は盛り上げながらも「なんでそこで驚いたの?」といったように問い返し、大切な気付きをひろっていきたい。
*発表順は、朝の日なた→朝の日かげ→昼の日なた→昼の日かげ、の順がよい。
・黒板には、児童が発言した気付きを書き込んでいく。注目した数字に色をつけていくことで、全体的な傾向が視覚的に分かるようにする。
・結果から分かることを考察する。
T:「各班の結果を全て書きました。これを見て、気がつくことはありますか。」
C:「日なたは10℃以上上がっているけど、日かげは1℃か2℃しか上がっていない」
C:「日なたと日かげを比べると、8時も12時もどちらも日なたの地面の温度が高い」
C:「3班だけ12時が25℃になっていて、他の班より低い」
T:「3班だけ温度が違うのは、どうしてだと考えられますか」
C:「おおいをかぶせる場所を間違えたかもしれない」
C:「温度をはかるときに、自分たちの体で日かげをつくってしまったかもしれない」
T:「たしかにそのような原因がありそうですね」
・日なたの地面の温度が、時間が経つと高くなっていくことから、日光が地面を温めていることを結論づける。
*太陽が高く上がると、地面に届く日光のエネルギーが大きくなる。日なたは日光が当たり続けることで正午ごろまでは地面の温度が上がり続ける。正午をすぎた頃から地面の温度は下がり始める。児童の素朴概念で「朝や夕方は太陽が地面に近いので、そちらの方が温まりやすいのではないか」というものがある。この考え方が出たらはじめから否定するのではなく、実験を通して考えが修正されるようにしたい。
*日かげの地面の温度はわずかに上がっている。指導書では深入りしないよう書いてあるが、数値を扱う上では無視できない。地面の温度が上がることで気温も上がり、日なたとつながっている日かげの空気や地面も温められたことを説明するとよい。(気温よりも日なた地面の温度が高いことからも、地面が空気を温めていることが分かる)
*器差をそろえた温度計を使うと、同じ条件であればだいたい同じ結果が得られる。誤差についても簡単に教える。数値が大きく違う班があった場合、その原因を考えることで科学的に追究しようとする態度を育てる。
・実験結果を棒グラフに表す
T:「算数で習った棒グラフで温度の変化を表しましょう。」
T:「グラフにするとどんなことが分かりやすいですか」
C:「温度が上がっていることが分かりやすい」
C:「日なたと日かげの違いが一目で分かる」
・班ごとの結果をだいたいの温度でとらえて棒グラフに表すことで、グラフ処理のよさを感させる。
*棒グラフは算数で既習事項であり、棒温度計にも似ているので表しやすい。(折れ線グラフは4年算数の内容)
・本時の学習を振り返る。
T:「振り返りを書きましょう。今日大切だと思ったことや、生活に生かせそうなことを書くといいですよ。どんな時に日なたや日かげにいくとよいですか。」
C:「日なたは温かいと思っていたけど、はかったらやっぱりそうだと分かってうれしかった」「正確にはかれなくて残念だった。次は気をつけたい。」「寒い日には日なたで温まりたい」「暑い日は熱中症にならないように日かげにいたい」
・結果をまとめて気付いたこと、生活で生かせそうなことなどを書けるような声かけをする。
作成者からの一言
この実験を通して「日なたは温かいと感じていたけど、調べたらやっぱりそうだった」「予想が当たった」と、思い通りになったことを児童たちは喜ぶだろう。調べて確かめることの楽しさを十分味わうことで、もっといろいろなことを調べたり、知らない道具を使ったりしたいと感じてほしい。
参考文献
東京書籍, 新編新しい理科3, 2024.
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