方べきの定理の「方べき」って何だ?ー方べきの定理の導入ー

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キーワード: 予想、証明、作業、方べきの定理、方べき
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目次

(一言で)授業の目標

作業を通じて「方べき」の値が不変であることを予想し、証明する。

授業の目標(詳細)

1.作業を通じて「方べき」の値が不変であることを予想し、証明する。
作図と計測の作業を通じて、方べきの値が変わらないことを予想し、証明する。
※方べき:円Oと点Pがある。点Pを通り円Oと2点A,Bで交わる直線を引いたとき、 PA・PBを円Oに関する点Pの方べきという。

2.円の半径(r)とある点(P)と円の中心Oまでの距離から「(円Oに関する点Pの)方べきの値」が一瞬で求まることに驚き、その理由を方べきの定理から納得する。
「(円Oに関する点Pの)方べきの値」は円の半径(r)とある点(P)と円の中心Oまでの距離から直ちに求めることができる。
(方べきの値:\( OP^2-r^2=(OP+r)(OP-r) \)

本教材のポイント

1.作図と測量の作業からスタートすることで、生徒を学習に動機づけることができる。

2.方べきの値が等しいことを予想させてから、方べきの定理の証明に入ることで生徒が方べきの定理を実感し、かつ、証明したいと感じさせることができる。

3.各生徒の方べきの値を教員が円の半径とOPの距離から一瞬で求めることで、生徒を驚かせる。その上でそれが方べきの定理を用いているものであること、それを方べきの意味と捉えることができることから、方べきの定理への興味を喚起させつつ、理解を深める。

授業デザイン

・作図と測量の指示

指示に従って作図、測量をさせる。

 

・(1)(2)の検討

作図と測量が完了し次第、(1)、(2)を考えさせる。

(余力があれば(おまけ)も求めさせる)

・作業結果の共有

 

・おまけを尋ね、生徒の方べきの値を当てる(おまけ課題を使ったマジックの紹介)

・作業結果の共有

①生徒を2人指名し、自身の図を板書してもらい、2つの方べきの値((1))を発表してもらう。

*点の位置が①とは異なる生徒を指名する。

②①を踏まえて(2)の予想を答えてもらう。

③他の位置に点を取った生徒がいないかを尋ねる。

*「円周上」という生徒については、step2の指示から取れないことを指摘しつつ、「その場合は値は常に0ですね。」などと評価する。

→予想の証明に入る。

 

・おまけの活用(方べきマジックの紹介)

④「ところで、・・」と(おまけ)をやった生徒がいないかを尋ねる。おまけを求めた生徒に半径と点と円の中心間の距離を尋ねる。その値を に代入し、(活動1),(活動2)の値を当てる。((生徒が驚いていれば)「問2の説明(方べきが一定であること)ができれば、私のこの力を手に入れることができます。」)

・用語の説明と証明の準備

 

・証明の補助(場合分け)

T:「点の位置が円の外側にあるときと内側にあるときで図の様子が異なるので、それぞれの場合で証明してみましょう。手が動かない人は相談しても構いません。まずは5分考えてみましょう。」

 

 

・検討の指示

T:「では、5分間、時間をとります。証明してみましょう。」

*相談ありの旨を最初に伝える(もちろん自力で考えてもよい)

*机間巡視にて困っている質問がないかを聞いて回る。

*できている生徒はほめ、誰ができているかをわかるようにして質問・相談を促進する。

3分程度経過してほとんどの生徒が方針を持てずにいた場合は、線分AC, BDをそれぞれの図に引き、ヒントを提示する。

(例)T:「〇〇さんが「線分AC, BDを引いていましたね。よさそうですね。」

※ある程度できていればヒントは提示しない。

 

・考えの共有の指示

T:「では、グループになって自分の考えを共有してください。ある程度考えが進んだ人がいればその人から共有するとよいでしょう。この後、いくつかの班に聞いていきますので、自分たちの考えを発表できるようにしておきましょう。」

*机間指導の際に、指名する生徒(ある程度できているor解答が面白い)を見つけ、ノートを撮影させてもらう。

・生徒を指名し、説明してもらう(5~10分)

・説明後に質問と補足説明を受け付ける。(5~10分)

・(必要であれば)教員が補足する。(5分)

*(誰を指名するかを言う前に)説明の流れを準備する時間をとってもよい。

・生徒を指名し、説明してもらう。

T:「では、今日は〇日だから〇〇さん。偶然〇〇さんのノートの写真があるから、それをもとに説明してもらいましょう。」

※ある程度解けている生徒のノートをスライドに写し、端的に説明してもらう。

「シンプルに」説明することを強調する(厳密な証明の読みあげは)。

 

・説明後に質問と補足説明を受け付ける。

*質問が不明瞭な場合は補足や言い換えを行う(ほかの生徒に補足してもらってもよい)

*質問がまとまらなそうであれば、数分間時間をとり、質問内容をまとめる時間をとる。

*質問の解答も他の生徒に尋ね、説明してもらうとよい。

 

・(必要であれば)教員が補足する。

*発表した生徒の説明と関連付けて説明する。

・ネタばらし(筆者の授業冒頭のマジックのネタの説明)(1分)

・次回予告(1分)

・ネタばらし(筆者の授業冒頭のマジックのネタの説明)

 *方べきの定理を認めれば、方べきの値は「\( OP^2 - r^2 \)」で求まる。

*「方べきとは中心と点の距離と円の半径で定まる値でもあったんですね」と簡単にまとめる。

 

・次回予告

T:「今日の内容について、質問はありませんか?あれば授業後でもよいので聞いてください」

*質問に来れる生徒は少ないので、理解が怪しい生徒には教師から授業後に話しかけに行く。

 

T:「次回はとった点を通る直線が接線になる場合を今回の性質に組み込めないかを考えます。直線が動いていって、ちょうど接線になった場合を含められないかということですね。(図を書く)このときに成り立つ性質を考え、証明します。」

 

T:「では、終わりにしましょう。挨拶をお願いします。」

作成者からの一言

活動を通じて、方べきの定理を深く実感させたいと思いました。

また、「方べきマジック」によって、生徒に驚きを抱かせ、数学に興味を持ってもらおうと思いました。

参考文献

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