(一言で)授業の目標
授業の目標(詳細)
本単元は地層や地層の中に含まれるものの調査、地層の成り立ちのモデル実験を通して、土地の変化について理解する単元である。
しかし、実際に地層を観察できる学校は少なく、また、地層を観察してもわかりにくいものが多いため、学習内容を身近に感じることが難しい単元でもある。
本授業では、5年生「流れる水のはたらき」で学習したことを生かし、結果が分かりやすいモデル実験を行うことで地層の成り立ちを実感させる。
工事中で地層が観察できる場所や学校のボーリング資料、博物館の資料など、活用できる地域の資料があれば準備しておくとよい。また、博物館の出前授業を活用するのも効果的である。
※実験が難しい場合は、映像教材も効果的である。
本教材のポイント
本物の条件に近付けて再現し検証する実験をモデル実験という。
児童は5年生のときに「流れる水のはたらき」について学習し、砂山で水を流して川を再現するモデル実験を行ってきている。本単元でも、地層は時間的・空間的にモデル実験が適していることに気付かせた上で、予想を確かめるという目的意識を持たせて実験を行いたい。
数百年以上かけて広い範囲に渡って起こっていることを簡単に再現しているという視点を忘れずにもっていたい。
本授業では、水と一緒に流れた砂が粒の大きさごとに体積して縞模様をつくるかどうか、を実験により確かめる。
目の大きさの違うふるいを使って2~3種類の砂に分けておき、それを混ぜた砂を流すことで、はっきりとした縞模様を観察することができる。分かりやすい結果が出るようにして子どもが納得できるようにしたい。
授業デザイン
・前時をふりかえり、予想を確認する。
・予想を確認する。
「流れる水のはたらきによって、異なる粒の大きさをもつ土はどのように堆積するか?」
※砂粒の大きさよりも、色に着目した意見が出てくると思われる。実験に使う砂は、運動場や学校の砂場にあるような様々な色や粒の大きさが混ざったものを使いたい。それによって、色ではなく粒の大きさによって堆積の仕方がちがうことに気付かせたい。
・前時までに地層のできかたについて予想をしておく。
*堆積のようすを予想すると意見が分かれる。結果の違いで予想を検証できるよう、前時の予想を確認しておく。
*同じ砂場の砂をふるいにかけて、砂を粒の大きさごとに分ける。大きさの異なる粒を混ぜると、実験に適した砂ができる。(できれば3種類がのぞましいが、下のように中ぐらいの粒を抜いて大と小の粒をまぜても見やすい観察ができる。)
・実験方法を確認する。
・班ごとに実験の準備をする。
・実験を行う。
・実験装置を片付ける。
・水槽が海、雨樋と板が川、水が大量の雨水、砂は川上の土砂などを模していることを確認する。
・砂の量や水の量によって結果が左右されるので、どれくらいの量で実験をするのか見せて伝える。
・砂を盛って水で流した後、砂が沈殿するのを少し待つ。その後同じ操作を2回以上することで、3層以上の地層を作ると観察しやすい。
・タブレット端末で砂が堆積する様子を動画撮影させておき、あとで地層ができる様子をみることができるようにする。
・できた地層の画像を撮影し、書き込むことでまとめられるようにする。
*グループで協力して準備と片付けができるよう、実験器具の置き場を分かりやすくしておく。
・実験結果を共有する。
・実験を考察する。
※板から砂がこぼれたり、縞模様がくずれて観察しにくかったりするところも出てくる。あくまでモデル実験なので、予想していたことがたしかめられたらよい。縞模様ができる仕組みについて考察し、実際の川や海に当てはめて、地層ができていく様子を考える。
・砂が堆積した様子を撮影した画像に、気付いたことを書き込ませ、大型テレビなどに映して結果を共有する。
・砂が堆積する様子を撮影した動画をスロー再生することで、粒が大きい砂が先に沈殿し、小さい砂がゆっくり上に積もるように沈殿していることで、縞模様ができていることに気付かせる。
*用意した砂とカラーサンドを交互に流して色のついた縞模様をつくると、火山灰が降った場合など、別の状況を再現することもできる。
*貝殻などを入れて砂を流すと、化石を再現することができる。
・学習を振り返る。
・次時の見通しをもつ。
・実際は数百年規模で、広範囲にわたってできるものを机上で再現していることを確認し、時間的・空間的視点から実験を振り返らせる。
・Google Earthなどの航空写真を見て、扇状地や三角州などの土地には地層ができているだろうということを、実験結果とつなげて考えさせる。
*塾で先に結果を知っていた子もいると考えられる。実際の海では解説通りの結果にはならないことや、モデル実験をすることが科学の手法であることも併せて教えておきたい。
作成者からの一言
児童が好きな実験なので、動画で終わらせるのではなく班ごとに実験をさせたい。
ただし、水害を経験した地域では児童の実態に配慮する必要がある。
実験の際には、教師用机で実験を見せるなどの配慮をしながらも、防災を意識した授業ができるとよいだろう。
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