【白いぼうし】物語の世界を深く味わう!『白いぼうし』で考える力を引き出す!(白い帽子:第3時/4校時)

カテゴリー:
キーワード: 叙述、物語、文学的な文章、引用、不思議

目次

(一言で)授業の目標

第4場面では、何がおきているのだろう。

授業の目標(詳細)

前時、児童は物語全体の内容をまとめることで、物語の全体像を把握することができた。それによって、第1時に出た不思議なことや疑問点がより明確に児童の疑問として心に残っているはずである。

本時は、そんな点について、全員で考えを深めていく。前時の内容把握を生かして、物語の本筋から離れない思考にしたい。そのために、叙述をもとにした考えを大切にし、読み取っていきたい。

本教材のポイント

本時は、第1時に子どもたちから出てきた不思議な点を考える時間である。子どもたちにとっては、自分たちが感じた不思議を授業で考えることができる時間であるので、意欲的に一生懸命に考える。その意欲を失わせないように、難しい点などは一緒に考えたり補助したりしてできるだけ自力で考えられるようにサポートしていきたい。

本時も単元で大切にしている叙述にこだわっていく。ファンタジー要素について考えるため、どうしても物語から離れた、空想の考えをしてしまう子どもたちが出てきてしまう。そんな中でも、常に教科書には何と書いてあるかと問いかけ、本文に立ち戻り、指導者が叙述を大切にしている姿勢を示すことが大切である。机間巡視で叙述をもとに考えられている児童を見つけておき、時間内に結論まで授業をまとめていけるようにすることも大切になる。

授業デザイン

■本時の導入
・単元の目標を確認する。
【単元の目標】
起きた出来事や登場人物の気持ちをとらえ、不思議だと思ったことについて考えたことを伝え合おう。

T:「今日はいよいよ不思議な点について考えていきます。」
・課題を確認する。
【課題】
4場面では、何がおきているのだろう。

・音読をしながら物語全体を再確認する。

*学習の前に単元の目標を確認することで、見通しをもって自覚的に学習を進められるようにする。

*音読方法に関しては、丸読みやグループ読みなど、各学級の実態に合わせて実施する。

■不思議な点について個人で考える

・第1時に子どもたちから出てきた、全員で考える不思議を確認する。
T:「みなさんが出してくれた不思議な点は次の2つでした。」
➀なぜ女の子はいなくなったのか?
②最後に聞こえた声はだれの声なのか?
*別の不思議が出てきていれば、それも共有する(③、④・・として追加)。

・➀と②について叙述を基に考える。
T:「次のようにして書きましょう。」

【書き方】
私は➀の不思議について○○だと思いました。理由は教科書の●ページに△△と書いてあったからです。

*自分の書いた不思議について、「その不思議は実際にはどうだったのか」と「そのように考えた根拠」を本文を基に記述する。

T:「では、それぞれについて教科書に書いてあることを理由にして考えてみましょう。」

*何を書けばよいかわからない児童には、初めに予想を書かせ、その予想の根拠を文章の中から探すように指示する。

*作業中に手が止まっている児童が複数人いる場合は、黒板の前や教室後ろに集めて、一緒に考える。

*机間巡視をしながら、自分の想像で考えを書いていないか、本文を基にして根拠のある考えを書いているか確認する。

■書いた内容の交流
・書いた内容を交流する。

〈予想される意見〉
➀について
・松井さんがぼんやりしていて、女の子が勝手にタクシーを降りたことに気付かなかった
・女の子が蝶になった
②について
・蝶が話している
・蝶が逃げれてよかったと話している

T:「はじめに、➀の不思議から教えてください。」
S:「私は松井さんがぼーっとしていたから女の子がいなくなったんだと思います。理由は、教科書29ページに松井さんが男の子のことを考えている様子が書いてあるからです。」
S:「私は、女の子が蝶になったんだと思います。理由は教科書30ページに松井さんが車から降りると白い蝶がたくさん飛んでいるからです。」
S:「私も女の子が蝶になったからいなくなったんだと思います。同じ30ページにすぐに車を止めた松井さんが降りたところに蝶がたくさんいたからです。」

T:「では、次に②の不思議について教えてください。」
S:「私は蝶がにげれてよかったと言っているんだと思います。24ページで出ることができた蝶がそのことを喜んでいると思いました。」
S:「私も蝶が話しているんだと思います。タクシーに乗っていた女の子は、24ページで松井さんが蝶を逃がした後に出てくるし、30ページでその女の子がいなくなった後にたくさんの蝶がいるから女の子は蝶で、その蝶がにげることができてよかったと言っているんだと思います。」
S:「私も蝶が話しているんだと思います。31ページで声が聞こえる前に松井さんは蝶をぼんやりと見ているうちと書いてあるので、蝶を見ていて声が聞こえてきたということは、蝶が話しているんだと思います。」

*机間巡視の中で、展開②の時に子ども同士の付け足しで意見がつながるように考えておくとよい。

*間延びしないように、まとめて当てるなどして、リズムよく進めるようにする。

*出てきた意見を端的に板書する。

*「松井さんがぼーっとしていたから女の子がいなくなった」と考える児童には、「そのあと何があった?」と問いかける。また、「ぼーっとしている間に女の子が蝶に変わった」と考えを変容できるように、他の児童の意見も聞きながら教師が働きかける。

*発表する際に何ページに書いてあるか一緒に話すことで、本文に着目する意識をもたせる。

*デジタル教科書で該当箇所にマーカーを付けるなど、全員が叙述を基にしている意識をもてるようにするとよい。

*意見がなかなかでない場合は「何がよかったんだと思う?」と問いかけ、逃げることができてよかった蝶の気持ちに気づけるようにする。

■本時の学習内容のまとめ
・本時の学習のまとめ。
T:「今日の学習で分かったことをまとめましょう。」

【例】
今日の学習を通して、私は○○の不思議が△△だということがわかりました。その理由は教科書の□ページに・・・と書いてあったからです。

*全員が自分の言葉で振り返りを書けるように型を示す。

*時間が余った場合は、各自でまとめの交流や音読をする。

作成者からの一言

本時は単元の中でも特に大切な読み取りの時間である。単元目標にも直接関連する物語の不思議に関することなので、全員が共通の理解をできるようにしたい。また、物語の内容や考えの根拠を空想してしまわないように、叙述を基に考えることは常に指導していきたい。本時の読み取った内容が、今後の伝え合う授業につながる。

参考文献

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