
【古文に共感を持たせる指導の工夫 ~登場人物の心情、作品が描き出す情景を自分自身と重ねる~】高1国語 伊勢物語 筒井筒 第2時
(一言で)授業の目標
授業の目標(詳細)
本時の範囲では「幼馴染との恋」という現代を生きる生徒が想像するに難くない情景が、古文特有のことばや音、そして二首の和歌によって描き出されている。
古語や和歌を味わいながら、男女が成長し、どのような心情を抱くに至ったかを読み取らせたい。そして、男女の心情に思いを馳せることで、生徒たちに「古文の世界と自分自身に共通点がある」と気付かせたい。自身との共通点は、学びに対する興味・関心の出発点となる。
本教材のポイント
高校古文は文法や古語、和歌の修辞を指導する必要がある。しかし、一方的な知識の提示や暗記を促す指導では、生徒のやる気を引き出すことはできない。まずは、古文に対する生徒の興味・関心を引き出す必要がある。
本教材では、登場人物の心情に注目した読解を心掛ける。「幼馴染」や「恋」は生徒にとって身近なテーマである。生徒が作品世界を自分自身に引き付けて読解することで、共感、ひいては古文に対する興味・関心が生まれる。古語の意味や和歌の解釈などは、教師が提示することなく、読解をしていく中で、生徒が自分で予想していくように誘導する。
授業デザイン
■前回の内容を復習しつつ、本時の導入を行う。
・前時の復習
・宿題の確認
・登場人物に関して分かっていることを列挙させる。
・授業目標「男女の成長と心の変化を読み取る」を設定する。
*前時に『伊勢物語』の文学的位置づけを解説した上で、本文を通しで音読し、登場人物を把握しておく。
*古文に慣れること、授業では読解に集中することが必要なため、宿題で本時の範囲をノートに書き写させる。
*男女が子どもから大人になったことを読み取らせ、心情の変化に注意を向ける。
■課題の検討①
・子どもが「井のもとに出でて遊びける」とはどういう意味か考える。
・男の「この女をこそ得め」を現代語に置き換える。
・女の「この男を」以下に省略された思いと、その後の行動を考えさせる。
・二人の「本意」とは何だったのか考える。
*個人活動。「井戸端会議」の知識と関連させ、同じ生活圏で遊んでいた状況、つまり「幼馴染」であることを理解させる。
*隣の生徒と話合わせた上で、何組かの現代語訳を発表させ、板書する。
*前問と同一グループで再度話し合わせる。
*個人活動
*活動後「あふ」「で」「本意」に関しては、板書を行い古語及び文法の知識を定着させる。
■課題の検討②
・男女の和歌は何を伝えているのか。現代語に置き換え、男女はそれぞれどのような思いを抱いているか考える。
*個人活動→グループ活動。何組かの現代語訳を発表させる。
*和歌は読解が難解のため、参考となる絵を黒板に掲示する。また、机上巡回しながら適宜ヒントを出し、全グループが(現代語がうまく完成しなくても)プロポーズの相聞歌であることには気付けるようにする。生徒の現代語訳の良い点を抽出した上で現代語の模範解答にたどり着くようにコントロールする。
*活動後、髪上げの儀や相聞歌の知識を提示する(国語便覧の図解を参照させる)。
■本時の学習内容のまとめ
・学習を振り返る
・次時への見通しをもつ
*改めて男女が幼馴染から夫婦になったこと、和歌でプロポーズをしたことを確認する。
*重要な単語、文法は再度知識として提示する。
*次時の範囲と宿題を板書する。
*古文の登場人物には我々との共通点があることを強調する。
作成者からの一言
生徒の興味・関心を引き出すために楽しい雰囲気を心掛けつつも、雑談に終始しないようにコントロールすること。また、恋愛をテーマにした作品では性的多様性に配慮し、発言には十分に留意する。
参考文献
住吉如慶『伊勢物語絵巻』巻第2
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