【叙述をもとに考えることを大切にした物語の学習】小4国語 白いぼうし 第4時
(一言で)授業の目標
授業の目標(詳細)
主人公である松井さんの行動や考えていることを通して、人物像や性格を捉える時間である。本文に書かれている内容をもとにして人物像を捉えることで、しっかりと叙述に沿って読む練習になる。
また、人物像を捉える本時の学習をすることによって、人物像や性格、考えていることなどは、直接的な言葉で表現されていなくても分かることを理解し、今後のさらに難しい文章の読解に進むことができる。
さらに、情景描写などの読解にもつながる重要な内容となっているため、大切に考えていきたい。
本教材のポイント
本時も叙述をもとに考えることが大切である。前回までにだいたいの内容を捉え、第4場面の不思議についても考えたため、児童の中には本文をしっかりと読まずに考える人も出てくる。しかし、そういった分かったつもりの読みにならないように根拠を明確に持つようにしなければならない。
そのために、課題提示後に物語全体を読む時間を設けた。本時の課題を理解した上で改めて物語全体を読むことで、叙述を根拠に考えやすくなる。
さらに、交流の場面では、同じような意見が出ることが予想されるが、それぞれ本文のどこを根拠に考えたのかを問うことで考えるか手が異なることに気づき、考えの幅を広げることができると考える。
授業デザイン
■前回の内容を確認しつつ、本時の導入を行う。
T:「前回は第4場面の不思議な出来事について考えました。」
S:「女の子が蝶に変わった。」
T:「今日は主人公である松井さんについて考えていきます。」
【めあて】
松井さんはどんな人なのだろう。
*前時は女の子や蝶を中心に考えたが、本時は主人公である松井さんについて考えることを確かめる。
■松井さんの人物像を個人で考える
T:「はじめにグループで丸読みをしましょう。その時に、ここ書いてあることから松井さんがどんな人かわかるというところに線を引きましょう。」
・松井さんの人物像を個人で考え、理由とともにノートに書く
【予想される意見】
・優しい…女の子を何も言わずに乗せてあげた
・だれかを喜ばせることが好き…白いぼうしに夏みかんを入れてあげた
・相手に寄り添える人…蝶が逃げてしまったことを知った男の子の気持ちを考えて落ち込んでいる
*生活班で物語全体を丸読みする(学級だと読まない児童が多くなるため)
*叙述をもとに考えるために、教科書に線を引かせる
*ノートに書くことを苦手とする児童にはタブレット端末にワークシートを作成するか、教科書のもとにした叙述の隣に松井さんの人物像を書かせるように指導する
T:「では、みなさんが考えたことを交流しましょう。」
S1:「松井さんは優しい人だと思います。なぜかというと、「おや、車道のあんなすぐそばに、小さなぼうしが落ちているぞ。」「松井さんは車から出ました。」と書いてあるからです。」
S2:「松井さんは、人の心がわかる人だと思います。理由は「ため息をついている松井さん」「かたをすぼめてつっ立っていた」と書いてあって、相手のことをよく考えていると思ったからです。」
S3:「S1 さんと同じで、松井さんは優しいと思います。わけは、「ええと、どちらまで。」「菜の花橋のことですね。」と丁寧な受け答えが書いてあるからです。」
T:「今、同じと言ってくれましたが、考えがすべて同じでしたか?」
S:「違う。」
S:「優しいは同じだったけれど、理由が違いました。」
T:「考えた性格は同じでも理由が違うことありますよね。だから、一人ひとりの考えを交流することが大切なんです。」
T:「松井さんの行動は本当に『優しさ』からだけでしょうか?『責任感』や『後悔』といった別の感情があった可能性は?」
S:「優しさもあるけれど、後悔もあると思います。理由は、S2さんが言っていたように、ため息をついていたので、自分がやってしまったことを後悔していると思います。」
S:「私もそう思います。でも、それは後悔ではなくて、相手に寄り添う気持ちだと思います。」
※物語全体の叙述を根拠として「優しい」という用語が出ればOK!
*全体の場での挙手が少なかったら、生活班での交流を入れて、自分の意見に自信をもって発言できるようにする。
*発言するときは電子黒板を活用し、どの叙述をもとにしたのか線を引いたり、指し示したりして、根拠を明確にする。
*同じ意見でも考えのもとになった叙述が違う場合はしっかりと取り上げて、同じ意見にまとめてしまわないように配慮する。
*情景をイメージし、その理由の行動が自身の主張する人物像を表すのかをそれぞれの児童の視点から検討させたい。
*松井さんの「優しさ」など、児童の意見が似通ってくる場合、意図的に異なる解釈を導き出すような問いを提示し、児童に自信や全体に出ている解釈のを再検討を促す。
(例)「松井さんの行動は本当に『優しさ』からだけでしょうか?『責任感』や『後悔』といった別の感情があった可能性は?」など
■本時の学習内容のまとめ
T:「では、次のようにして今日の振り返りを書きましょう。」
【予想される振り返り】
私は、松井さんは○○な人だと思いました。理由は△△だからです。みんなの意見を聞いて、□□さんと考えが同じ/違うでした。□□さんは、……と言っていました。
*書くことが難しい児童は自分の考えと誰と一緒だったかだけ書くようにする。
作成者からの一言
本時も叙述をもとにして考えることが大切である。物語全体の漠然としたイメージだけから考えることがないように、個人で考える時間に根拠の曖昧な児童がいた場合はしっかりと声をかけるようにしたい。
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